多くの企業で聞かれるのは「人が足りない」「人材が採れない」という声です。
しかし現場を丁寧に観察すると、必ずしも人員不足だけが問題ではないことに気づきます。
実際には、日々の業務の大半が付加価値を生まない作業に費やされており、その多くは再現性の欠如から発生しています。
たとえば同じ書類を探して回る時間、説明を口頭で何度も繰り返す時間、初稿を毎回白紙から作る時間、承認や決裁をただ待っている時間──こうした“見えないコスト”が膨らみ続けています。
属人化も深刻です。
熟練担当者が頭の中に持っているノウハウが他者に伝わらず、引き継ぎが困難になり、品質は人によってばらつき、トラブルが起きるたびに現場は振り出しに戻されます。
この状態で人を増やしても改善は進まず、むしろ教育負担が増えてしまいます。
まず取り組むべきは、人を増やす前に業務フローを可視化し、詰まりを特定して解消することです。
頻度×所要時間×待ち時間の掛け算で並べ替えると、最も削減効果が大きい作業が浮かび上がります。
これを上位から順に潰すことが、改革の第一歩です。
再現性とは、誰が担当しても同じ品質の成果が出せる“型”をつくることです。
この型を作り、その上にAIを重ねることで初稿作成・要約・比較などの自動化が一気に進みます。
AIは人手の穴埋めではなく、流れの詰まりを外してくれる潤滑油です。
次に重要なのは、改善の始点を小さな実験導入に置くことです。
いきなり大規模投資を行わず、まず1部門・1タスクで型を作り、効果を数値で示します。この実績が経営層を動かし、次の拡大への信頼を育みます。
あなたの組織にもきっと、同じ説明や承認待ちに時間を奪われている場面があるはずです。
今日の宿題は、過去一週間の行動を振り返り、「探す」「転記する」「待つ」に該当する作業の合計時間をおおよそで構いませんので書き出してみてください。その数字こそが、最初に取り除くべき“隠れた損失”の見える化になります。
CTA
👉 頻度×時間×待ちの上位3作業をメモし、削減インパクトを想像してみてください。
次回予告
DAY3では、AIに任せられる領域を洗い出し、初稿・要約・比較をどこから導入するかを示します。
P.S.
AI活用の第一歩は道具選びではなく、流れの再設計です。人に無理を強いるのではなく、再現性を取り戻すことから始めましょう。

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