地球温暖化対策 第2章 再生可能エネルギー技術

2.1 仕組み

再生可能エネルギーとは、自然界で持続的に供給されるエネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を利用して電力や熱を得る技術の総称である。化石燃料と異なり燃焼に伴うCO₂排出がほとんどなく、脱炭素社会の基盤となる。発電の仕組みはエネルギー源によって異なるが、基本的には自然エネルギーを「電気エネルギー」へと変換するプロセスを持つ。

  • 太陽光発電:光子が半導体材料に吸収され、電子が励起されることで電流を生む。
  • 風力発電:風の運動エネルギーでタービンを回転させ、発電機で電力に変換。
  • 水力発電:水の位置エネルギーを利用しタービンを回す。
  • 地熱発電:地中の熱水や蒸気でタービンを駆動。
  • バイオマス発電:有機物を燃焼・ガス化して発電。

2.2 最新事例

太陽光発電

  • ペロブスカイト太陽電池が変換効率 25% を超え、シリコンとのタンデム型で 30% を突破。
  • 薄膜・軽量化によりビル壁面や車載応用が実用化段階に入っている。

風力発電

  • 欧州を中心に浮体式洋上風力の実証が進展。水深50m以上でも設置可能となり、日本沿岸での導入拡大が期待される。
  • デジタルツインによる運転最適化、ブレードのAI監視による保守コスト低減が進む。

地熱発電

  • 高温岩体を利用する「強制循環型(EGS)」が実証段階にあり、従来の地熱資源が乏しい地域でも導入可能性を広げている。

バイオマス

  • 下水汚泥や食品廃棄物からのバイオガス発電が普及。炭素ニュートラル燃料として航空用バイオ燃料への応用が進行中。

2.3 課題

  • 変動性電源の統合:太陽光・風力は気象条件に左右され、系統安定化のために蓄電池・送電網強化が必須。
  • 資源制約:太陽電池に必要なインジウム・ガリウム、風力タービンのネオジムなど、希少金属供給リスクがある。
  • 環境影響:洋上風力による漁業・景観への影響、バイオマス利用に伴う土地利用競合。
  • コスト:近年は低下しているが、送電網整備や蓄電との統合コストを含めると依然として課題が残る。

2.4 将来展望

  • ハイブリッド発電:太陽光+風力+蓄電池の統合システムが主流化し、需給安定性を確保。
  • 次世代材料:ペロブスカイトや有機薄膜による軽量・低コスト発電が普及。
  • 洋上風力国家戦略:日本を含む多くの国で大規模洋上風力が基幹電源化。
  • カーボンリサイクルとの統合:再エネ電力で水素や合成燃料を製造し、産業・輸送分野の脱炭素化に直結。

再生可能エネルギーはすでに「理想論」から「産業の中心技術」へと移行しており、課題解決の速度が2050年カーボンニュートラル達成の鍵を握る。

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